技術資料/Q&A
CD方式スタッド溶接システム
CD(Capacitor Discharge)方式スタッド溶接システムは、独自の設計・性能を備えたコンデンサー群に蓄積されたエネルギーを利用した1/1,000秒台の瞬間溶接システムで、アーク熱/溶け込みが極めて少ないため、母材溶接裏面の(歪)(変色)等が殆どなく、薄板やデリケートな表面処理母材に対する溶接に適しており、他の溶接方法では不可能な特徴を持っております。
スタッドを溶接ガンのコレットチャックに挿入し、母材に押し当てた後トリガースイッチを引くだけの操作で自動的に溶接サイクルが作動し、均一なスタッド溶接が完了します。
また、特に資格を必要としませんので誰でも作業が可能な半自動溶接システムです。
スタッド溶接機基本構成接続図

スタッドの溶接方法
アジア技研のCDスタッド溶接システムは、溶接するスタッド材質等に応じ<コンタクト方式>と<ギャップ方式>をガンの交換だけで選択する事ができます。
| コンタクト方式 |
ギャップ方式 |
| 適合溶接ガン:A-50・A-100・A-200 |
適合溶接ガン:A-300 |
あらかじめ、スタッドを母材に圧接放電/溶接する方法で、軟鋼・ステンレス・黄銅・銅の溶接に適しています。
|
スタッドを母材から離しておいたところから溶接サイクルをスタートさせ、スタッドに加速をつけ母材に接触/放電/溶接する方法でアルミニウム・チタンの溶接に適し細径スタッドの溶接にも有効です。
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スタッドと母材の溶接適合表
CD方式スタッド溶接の特徴のひとつは、各種材質のスタッドを同種又は異種材質の母材に溶接できる事です。特に従来では極めて難しいとされているアルミニウム・チタンのスタsッドを簡単な操作で溶接できます。
母体 (Base Material) |
スタッド(stud) |
軟鋼 Mild steel |
ステンレス鋼 Stainless steel |
黄銅 Brass |
銅 Copper |
アルミニウム Aluminium |
チタン Titanium |
| 一般構造用圧延鋼材 |
SS |
◎ |
◎ |
○ |
◎ |
× |
× |
| 冷間圧延鋼鋼材 |
SPC |
◎ |
◎ |
○ |
◎ |
× |
× |
| 機械構造用 炭素鋼材 ~S20C |
|
◎ |
◎ |
○ |
◎ |
× |
× |
| 亜鉛鉄板 |
|
◎ |
◎ |
△ |
○ |
× |
× |
| ステンレス鋼板 |
SUS 302 |
◎ |
◎ |
○ |
△ |
× |
× |
| SUS 304 |
◎ |
◎ |
○ |
△ |
× |
× |
| SUS 403 |
◎ |
◎ |
○ |
△ |
× |
× |
| 黄銅(真鍮)(鉛 含有なし) |
|
○ |
○ |
△ |
△ |
× |
× |
| アルミニウム |
1000番 |
× |
× |
× |
× |
◎ |
× |
| 5000番 |
× |
× |
× |
× |
◎ |
× |
| 3000番 |
× |
× |
× |
× |
○ |
× |
| 6000番 |
× |
× |
× |
× |
○ |
× |
| 純チタン 2種 |
|
× |
× |
× |
× |
× |
◎ |
注)溶接性: ◎優良、○良、△要調整、×不可
記は、スタッドと母材との溶接適合の「目安」です。実際の溶接可否につきましては事前に確認してください。
CDスタッドの溶接強度
適正に溶接されたスタッドは、その径と材質に相応する強度を有し、ファスニングとしての使用目的に対応できます。
| 材質(Material) |
スタッドねじ径 |
引張強度 (kgf) |
剪断強度 (kgf) |
トルク (kgf-cm) |
| 母体(Base Material) |
スタッド(stud) |
軟鋼材 (Mild steel) |
軟鋼 (Mild steel) |
M3 |
215 |
125 |
13 |
| M4 |
380 |
225 |
35 |
| M5 |
605 |
355 |
60 |
| M6 |
870 |
510 |
113 |
| M8 |
1,465 |
865 |
250 |
| M10 |
2,375 |
1,425 |
493 |
| M12 |
3,455 |
2,075 |
805 |
ステンレス鋼 (Stainless steel) |
ステンレス鋼 (Stainless steel) |
M3 |
325 |
200 |
22 |
| M4 |
580 |
355 |
46 |
| M5 |
955 |
580 |
90 |
| M6 |
1,380 |
825 |
165 |
| M8 |
2,400 |
1,500 |
380 |
| M10 |
3,500 |
2,355 |
805 |
アルミ材 (Aluminium) |
アルミニウム (1000番台) (Aluminium) |
M3 |
60 |
32 |
4 |
| M4 |
110 |
60 |
9 |
| M5 |
175 |
99 |
20 |
| M6 |
240 |
135 |
28 |
| M8 |
440 |
250 |
65 |
注)実際の設計には、必要に応じ安全率を考慮してください。
スタッドの位置決め


| スタッドねじ径 |
ポンチ穴寸法(mm) |
| ΦA |
B |
| M3 |
~0.7 |
~0.35 |
| M4 |
~0.8 |
~0.40 |
| M5 |
~0.9 |
~0.45 |
| M6 |
~1.0 |
~0.50 |
| M8 |
~1.2 |
~0.60 |
| M10 |
~1.4 |
~0.70 |
| M12 |
~1.8 |
~0.90 |
注)大き過ぎるポンチ穴は溶接不良の原因となります。
使用上の注意事項
- 弊社機器の修理に関しましては、専門技術を要しますので必ず、弊社又は弊社代理店までご連絡をお願いいたします。
- お客様による改造・部品の変更は思わぬ事故につながるおそれがありますので、絶対に行わないようお願いいたします。また、本来の用途以外でのご使用はしないでください。
- 絶対に火気厳禁の場所で使用しないでください。また周辺に可燃物の無いことを確認後ご使用ください。火災及び爆発事故の原因になります。
- ご使用の際は必ず保護メガネ・皮手袋等をご使用ください。
- 使用しないとき、内部の点検・清掃時は必ず電源スイッチを切り電源ケーブルのプラグをコンセントから抜いて下さい。
- 濡れた手や、湿った衣服を身に着けた状態で溶接機に触れないで下さい。
- 溶接機設置時は転倒や落下の恐れが無いように、堅固な場所に水平に設置してください。
- 電源電圧は、各機器所定の定格値でご使用ください。定格値を超えると、発熱により火災や感電の恐れがあります。
その他詳細は、各機器に付属の取扱説明書をご覧下さい。
スタッド溶接 Q&A 故障かなと思ったら
故障かなと思ったら、お手数ですが、先ず症状をお確かめください。
| 症状1 | 電源が入らない |
| チェックポイント |
- 1.電源ケーブルは正常に接続されていますか 。
- 2.過電流保護サーキットプロテクターが遮断されていませんか。
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| 対策 |
- 1.電源ケーブルを正常に接続してください。
- 2.サーキットプロテクターをONにして下さい。
- 3.破損している場合は、弊社または販売店に修理を依頼して下さい。
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| 症状2 | ガンスイッチを押しても溶接起動しない。 |
| チェックポイント |
- 1.アースが母材に正しくクランプされていますか 。
- 2.ガンケーブルやコントロールケーブルが正しく接続されていますか。または、破損していませんか 。
- 3.母材に塗装や絶縁皮膜がありませんか。(アルミの場合はアルマイト処理)
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| 対策 |
- 1.アースを母材に2ヵ所、確実にクランプしてください。
- 2.破損している場合は弊社または販売店へ修理を依頼してください。
- 3.母材表面に絶縁皮膜があると通電しないため溶接起動しません。アースをクランプする箇所と溶接箇所をグラインダー等で皮膜を除去してください。
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| 症状3 | ガンスイッチを押していないのに溶接起動してしまう。 |
| チェックポイント |
- 1.同じ母材や定盤にTig等、他の溶接機のアースを取り同時作業していませんか。または、近くで他の溶接作業をしていませんか。
- 2.本体内部に鉄粉等が 入り込んでいませんか。
- 3.スタッド溶接ガンのスイッチは正常に動いてますか。または、常に導通の状態になっていませんか。
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| 対策 |
- 1.他溶接機のノイズの影響で異常動作、故障する場合があります。弊社のスタッド溶接機はノイズ対策をしていますが、対策範囲外のノイズが影響する可能性があります。同じ母材に他溶接機のアースも取っている、または同じ定盤を併用し 溶接作業をしている場合は単独でのご使用をお奨めします。
- 2.主電源を完全に遮断した後、定期的に溶接機のカバーを外し、エアーブローによる清掃を行って下さい。
鉄粉等の電子部品への接触により異常動作を起こす原因になります。
- 3.ガンスイッチ周囲に導通する異物を取り除くなど清掃してください。 常に導通状態の場合は弊社または販売店へ修理を依頼してください。
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| 症状4 | 溶接したスタッドが外れてしまう。 |
| チェックポイント |
- 1.スタッドに応じた設定電圧は適正ですか。
- 2.溶接ガンの加圧設定は適正ですか。
- 3.溶接位置にサビ・油・・マジックインキ等が付着していませんか。
- 4.ポンチ穴径や深さは、ばらつきが無く適正寸法ですか。
- 5.母材に表面皮膜ある場合、研磨等で完全に除去していますか。
- 6.逆極接続法をご存知ですか。。
- 7.コレットは焼損していませんか。
- 8.アースのクランプ位置は適正ですか。
- 9.スタッド、めねじスタッドは純正をお使いですか。
- 10.溶接ガン、シャフトの動きはスムーズですか。
- 11.溶接位置にスパッターや鉄粉等は存在していませんか。
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| 対策 |
- 1.適正な電圧設定を行って下さい。
-
電圧設定が低いとエネルギー不足となり不完全溶接となります。
電圧が低い場合にはスタッドの溶接部に隙間ができます。
電圧設定が高過ぎると、溶接部の周囲が溶融過多となります。
適正電圧で溶接した場合。溶接部に隙間が見当たらず適度で均一な溶融状態となります。 適正電圧で溶接されている場合でも、強度確認の際に外れてしまう場合は溶接ガンの加圧調整が必要になります。
- 2.溶接ガン、加圧設定の良否判定目安です。
-
加圧不足の場合、スタッド外れ面が鏡面状に光って見られます。
他に、母材に不純物が多い、ガンシャフトの動きがスムーズでは無い
場合に見られます。
適正加圧でないと判断した場合。
A-100ガン。
ガン後部キャップを右に廻すと加圧強となります。約一回転毎に溶接し、強度確認を行った上で、適正な加圧を見出してください。
A-50ガン。
ガン後部のキャップを外し、中の調整ねじを右に廻すと加圧強となります。同じく、約一回転毎に溶接し、強度確認を行った上で、適正な加圧を見出してください。
詳しくは、取扱説明書をご参照下さい。
- 3. 溶接位置のサビ・油・・マジックインキ等を除去して下さい。
-
表面にゴミ、埃、油、サビ、スパッター防止液の乾燥皮膜、マジックインキによるマーキングなどがある場合は確実に除去して下さい。
スパッター防止液は、乾燥前であれば電圧・加圧調整を行い溶接可能です。
- 4.ポンチ穴径や深さは前記寸法表をご参照の上、遵守下さい。
-
ポンチ穴径や深さが位置毎に変動していると、溶接状態が不均一となります。
- 5.母材表面の塗装、ペンタイト皮膜を除去して下さい。
-
溶接するボルト径よりもやや大きく、グラインダー等で平らに研磨してください。研磨材粒度は、#80~#240程度が望ましい。
- 6.ボンデ鋼板等への溶接には通常とは逆の接続が有効です。
-
通常のガン・アースの接続とは逆の接続を逆極接続法と呼び、直流であるスタッド溶接のプラスとマイナスが逆となり、亜鉛皮膜等があり、母材側をより多く溶融させる必要があるボンデ鋼鈑への溶接に有効です。
溶接ガンとアースの接続を本体の表示通りに接続するのが通常(正極)の接続です。鉄(酸洗・磨き・黒皮)、SUS304、アルミ 他。
溶接ガンとアースの接続を通常の逆、本体のGUNにアースを、EARTHに溶接ガンを接続するのが逆極接続です。
鉄(ボンデ鋼鈑)、その他皮膜の薄いもの
- 7.コレットを新品と交換して下さい。
-
溶接を繰り返していると徐々にコレットの把握力が弱くなってきます。その際、プライヤーなどでコレット中心に向かって締め付ければ良いのですが、もしコレット内部が焼損した状態で溶接を行った場合、溶接したスタッド外周も焼損してしまい、ねじ破損や溶接不良になってしまうことがあります。速やかに交換してください。
- 8.アースは基本的に母材の対角にクランプして下さい。
-
スタッドを溶接する場合、溶接電流が流れるケーブルの周囲に強力な磁界が発生します。小さい母材に対して溶接を行う場合この磁界の影響を受け溶融金属が一方向に引っ張られてしまうといった磁気吹き現象が起こり、溶接不良となることがありますので、前記基本接続図をご参照いただき、アース位置は母材の対角にクランプされる事をお勧めします。
- 9.スタッド、めねじスタッドは純正をご使用下さい。
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スタッドは、本溶接の溶接結果を左右するに重要なシステム構成のひとつです。
スタッドは、その溶接結果を保てる弊社、純正をご使用ください。
- 10.溶接ガンシャフト動作がスムーズでは無い場合、整備、修理。
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作業前に手で動かしてみて、引っかかりがないかご確認ください。
動きが悪いと、適正な加圧がスタッドに与えられず、溶接不良となりますので、早急に修理依頼されることをお勧めします。
- 11.母材溶接面をエアーブロー等で清掃して下さい。
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溶接部にスパッターや鉄粉が存在すると、スタッドの先端チップにより設定されている電気的抵抗値が極度に変動し、溶接過多や不完全溶接となります。
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